母校へ凱旋!オリンピック金メダリスト・木村葵来選手が語る原点と素顔

令和4年度に倉敷翠松高校を卒業し、初出場となったミラノ・コルティナ冬季五輪のスノーボード男子ビッグエアで見事金メダルに輝いた木村葵来選手。今大会における日本勢初の金メダル獲得という歴史的な快挙を成し遂げた木村選手が、母校である倉敷翠松高校へ凱旋し、後輩たちへ喜びの報告をしてくれました。

今回は高校3年間を通じて学年主任を務め、厳しくも温かく生活指導などを担当していた恩師・阿部先生による特別インタビューをお届けします。世界の大舞台で頂点に立つまでの軌跡や、スノーボードにとことん熱中した翠松高校での3年間、そして当時の阿部先生とのほろ苦い思い出まで木村選手の等身大の言葉とリアルな声に迫ります。

有言実行の金メダル。大舞台でも揺るがない冷静なマインド

12月末に学校に来てくれた時、「金取ってきます」って言ってくれたよね。有言実行してくれて先生たちもすごく嬉しかったんだけど、あの時はどれくらいのパーセンテージで金メダルが取れると思ってた?
ありがとうございます!あの時はいつもみたいに勢いで言っちゃったところもあるんですが、コンディション的には絶対にメダルは取れると思っていました。ただ、メダルの色よりも「悔いなく自分のやるべきことができれば満足だ」という気持ちが一番大きかったですね。
オリンピック男子ビッグエア決勝の当日、パブリックビューイングで応援していて、2本目失敗した時に「あっ」と思ったんだけど、3本目直前のスタートラインではどんな気持ちだったのかな?
ワールドカップなどでも2本目でこけて3本目を迎えることは多かったので、「あ、いつもの感じだな」という感覚で焦りはありませんでした。周りの人は心配したかもしれませんが、自分自身は冷静でした。スタート直前は、2本目でミスした部分をどう修正するかだけをコーチと話し合って集中していました。学校からの応援も力になり、有言実行で結果を残せたことを本当に嬉しく思っています。

スノーボードに熱中できた、翠松高校での3年間

入学式で「スノーボードやってます。ビッグエアとスロープスタイルです。」って言ってくれたのをすごく覚えている。そもそもどうして翠松高校を選んで、入学後はどんな生活を過ごしていたの?
翠松高校の卒業生にフィギュアスケート選手の高橋大輔さんがいて、ウィンタースポーツに理解があり、競技に集中してやれる環境だと思ったのが選んだ理由です。中学の友達が同じ高校に進学することが多い中、僕は知り合いが誰もいない状態からのスタートでした。でも、遊ぶ時間があまり多くなかった分、自分の大好きなスノーボードにとことん熱中できる、とても充実した高校生活でした。
怪我をした時期もあったけれど、学年が上がるにつれて、スノーボードや競技に向き合う姿勢に変化はあった?
学年が上がるにつれて日本の大会で勝てるようになったのですが、初めて出た海外の大会(ジュニアワールドカップ)で惨敗してしまいました。そこで「今の自分じゃダメだ」と痛感し、本格的に競技と向き合わなきゃいけないと思い始めたのが大きな転機です。途中で肩を怪我して手術をした時期もありましたが、毎日普通に高校生活を送りながら、放課後は家に帰ってリハビリやトレーニングにしっかり時間を充てることができました。自分のペースで無理なく学校生活と競技を両立できる環境だったことも、とてもありがたかったです。

厳しい言葉と地道な基礎練習が教えてくれた「原点」の大切さ

私が学年主任として、「応援してくれる人たちが費やしてくれている時間があるのだから、大好きなスノーボードをするためにも学校生活をきちっとこなそうね」と指導したこともあったけれど、今振り返ってみてどうかな?
あの時の指導のおかげで、結局「原点」が一番大事だと今は強く思っていて、初心を忘れずにきちんと向き合う姿勢が大切だと、今の立場になって改めて感じますね。これから社会に出た時にも絶対に必要になる部分なので、高校時代に先生方が愛情を持ってしっかり指導してくださったことは、今の自分に確実につながっていると心から感謝しています。
そうした「原点」を大切にする姿勢は、スノーボードの練習や競技にも活きていると感じる?
はい。競技の練習でも、高回転の派手な技ばかりではなく、地味でキツい基礎練習をかなり大事にしていて、そういった部分を徹底したからこそ今回の大会でもミスなく飛べたんだと思います。当時は親からの厳しい言葉などに対して「ずれてるのかな」と思うこともありましたが、そのおかげで「あ、やばいな」と気づき、道を外すことなく軌道修正することができました。

満足せず、さらなる高みへ。夢を追う未来の後輩たちへ

1つの目標だった金メダルを獲得したけれど、これからの目標や展望はどのように思い描いている?
今回のオリンピックは、スロープスタイルで予選通過できず悔いが残っているので、自分としてはまだ満足いく結果ではありませんでした。だから4年後は、同じくスノーボードをしている弟と一緒にオリンピックに出場して、ビッグエアとスロープスタイルの2種目で金メダルを取れるように調整していきたいです。
最後に、翠松高校の在校生や、これから入学してくる中学生たちへメッセージをお願いします!
高校生活はこれから先の人生が決まる大事な時期です。自分がこれからどうしていきたいか、どうなりたいかをしっかり思い描いて、その目標に向かって真っすぐ突き進んでほしいです。翠松高校には夢を応援してくれる先生方がいるので、もし道に迷いそうになったら、一度「原点」に帰って自分を見直して、安心してチャレンジし続けてください!